借金返済|フランチャイズ詐欺の典型例

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1 事案の概要

本件は,メロンパンの移動型パン販売業を開始するにあたり,被告Oとの間でフランチャイズ契約の一種である賛助会員契約を,被告Rとの間で販売業に使用する車両(以下「販売車両」という。)の購入契約を,被告Pないし被告Qとの間で販売車両の購入代金について立替払契約を,それぞれ締結した原告ら(原告Fを除く。)及び原告Eの被告Pに対する債務を保証した原告Fが,被告Oにおいて賛助会員契約に基づく債務の不履行があること,又は,販売車両の売買契約が錯誤無効ないし詐欺により取消し得べき契約であること,若しくは,賛助会員契約・販売車両の売買契約が特定商取引に関する法律(以下「特商法」という。)上の業務提供誘引販売取引に該当するとして同法上のクーリングオフないし取消権の行使が可能であること等を主張して,被告P及び被告Qに対しては,債務不存在の確認を求め,被告O及び被告Rに対しては,加盟金の返還ないし損害賠償の支払を求めた事案である。

2 前提事実

当事者間に争いのない事実のほか,証拠(事実ごとに後掲)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1) 被告ら
ア被告Oは,パンの製造販売等を目的として平成16年3月に設立された企業組合であり,Gはその代表理事である(争いなし)。
イ被告Rは,自動車およびモーターボートの修理,販売等を目的とする株式会社であり,その本店所在地は,広島県福山市である(争いなし)。
ウ被告Pは,割賦販売斡旋業等を目的とする株式会社である(争いなし)。
エ被告Qは,割賦販売斡旋業等を目的とする株式会社であり,平成17年10月1日に,商号をS株式会社から現在の商号に変更した(争いなし)。
(2) Gは,平成15年7月ころ,大阪で行われていた移動販売車によるメロンパン販売事業に関心を持ち,仙台において,メロンパン販売事業を展開することを考え,知人を介して,メロンパン販売の経営コンサルタントも行っていた訴外有限会社T(以下「訴外T」という。)に相談した。
当時,訴外Tは,被告Rを移動販売車両の販売元として,また,訴外U株式会社(以下「U」という。)をパン生地の販売元として,全国各地に,「メロンちゃん」の名称でパンの製造販売を行う企業組合を立ち上げる計画を進めていた。
Gは,訴外から,企業組合制度の説明を受けて,宮城県内で企業組合を立ち上げることを勧められ,企業組合を設立しメロンパンの販売事業をフランチャイズ展開することを決意した。
その後,Gは,訴外Tの協力を得ながら,被告Oを設立し,その代表者となった(以下,同代表者としてのGを「G」という。)(以上の事実についてG)
(3) 原告A,同B,同C,同D,同E(以下,「原告Aら」という。)は,それぞれ,別紙2「賛助会員規約」を内容として,別紙3「賛助会員契約一覧表」のうち「契約日」欄ないし「加盟金」欄記載の時期に,被告Oとの間で賛助会員契約を締結し,同被告に対し加盟金50万円を支払い,別紙4「販売車両の購入契約一覧表」のうち「契約日」欄記載の時期に,被告Rとの間で販売車両の購入契約を締結した(原告らと被告O及び被告Rとの間においては,争いがなく,原告らと被告P及び被告Qとの間においては,別紙3及び4の一覧表に掲記した各証拠及び弁論の全趣旨により認めることができる。)。
原告Aらが購入した販売車両の購入代金については,別紙4「販売車両の購入契約一覧表」のうち「購入代金と内訳」欄記載のとおりであり,原告Aらは,購入代金の全部又は一部について,別紙5「立替払契約一覧表」のうち「信販会社」欄,「締結日」欄,「立替の対象」欄及び「支払条件」欄各記載のとおり,被告Pないし被告Qとの間で,立替払契約を締結した(争いがない)。
(4) 原告Aらは,それぞれ,別紙3「賛助会員契約一覧表」及び4「販売車両の購入契約一覧表」のうち「契約解消の意思表示」欄記載の日に,被告Oに対しては賛助会員契約を,被告Rに対しては販売車両の売買契約を,それぞれ解除ないし取り消すとの意思表示をした(争いがない)。
(5) 被告Pは,原告A,同B,同C,同E及び同Fに対し,また,被告Qは,原告A,同Dに対し,別紙5「立替払契約一覧表」記載の各立替払契約に基づいて,同別紙のうち「原告らの請求」欄に記載の額について,債権を有すると主張し,原告らは,これを争っている(顕著な事実)。

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3 争点

(1) 被告Oには,原告Aらに対する賛助会員契約上の債務不履行があるか。
(2) 仮に(1)の債務不履行があるとした場合,原告Aらは,それに基づき被告Rとの間の売買契約を解除できるか。
(3) 原告Aらは,被告Rとの間の売買契約を詐欺を理由として取り消すことができるか。また,同契約について錯誤を理由とした無効を主張できるか。
(4) 賛助会員契約・販売車両の売買契約が,特商法上の業務提供誘引販売取引に該当するか。
(5) 法定追認の成否
(6) 原告らの被告P及び被告Qに対する債務の存否
(7) 本件賛助会員規約6条(配当又は繰越),7条(配当の方法),9条(脱会)について,規約と異なる扱いをする旨の合意があったか。
(8) 損害の発生とその数額

4 当事者の主張

(争点(1)−被告Oには,原告Aらに対する賛助会員契約上の債務不履行があるか−について)
(1) 原告らの主張
賛助会員規約3条によれば,被告Oは,原告Aらに対し,パンの販売に関する業務に関して,色々な側面で賛助組合員をサポートする義務(以下「サポート義務」という。)を負っているところ,以下のとおり,債務不履行の事実があり,原告Aらによる解除の意思表示は有効である。
ア有力な販売先を開拓する義務の違反
(ア) 賛助会員規約3条によれば,被告Oは,サポート義務の一内容として,原告Aらに対し,有力な販売先を開拓する義務を負っている(以下「販売先開拓義務」という。)。
Gは,原告Aらに対し,それぞれ,各賛助会員契約の締結に際して,販売先については,被告Oの方で確保しており,今後も増やしていくので,心配いらないこと,賛助会員が自ら販売先を開拓することは構わないことを説明していた。
(イ) 被告Oは,原告Aらに対し,原告Aらがメロンパン販売事業を開始した平成16年3月ころは,販売先を提供していたが,平成16年5月ころ以降「販売先は,賛助, 会員が開拓するのが基本姿勢です」「皆さん,甘えすぎです」等と規約に反する説明をし,販売先を増やすことはなく,原告Aらに対し,販売先を提供することを全くしなくなった。イ手作りパン生地を供給する義務の違反
(ア) 賛助会員規約3条によれば,被告Oは,サポート義務の一内容として,原告Aらに対し,パンの生地,包装資材等パンの販売経営に関して必要不可欠な商品ないし資材を全量供給し,商品の品質,商品の内容に関して,責任を負っている。
特に,メロンパン生地に関しては,被告Oは,原告Aらとの合意により,広島にあるパン製造会社である株式会社V(以下「V」という。)が製造した手作りによるパン生地(以下,単に「Vの生地」という。)を供給すべき義務を負っている(以下「パン生地等の供給・品質保持義務」という。)。
(イ) 被告Oは,原告Aらの了解を得ることなく,パン生地の製造工程を手作りから機械生産に変え,パン生地の品質についても,平成16年5月ころまでは,Vの生地を供給していたが,同年6月ころからは,同生地の他に,それよりも品質の落ちるUの生地をも供給するようになり,同年11月ころには,更に品質の落ちた生地を供給するようになった。
原告Aらを始めとする賛助会員は,被告Oに対し,幾度となく,パン生地の品質に関するクレームを申し入れたが,一時的に品質が改善されることがあったものの,2週間程度もすればすぐにパン生地の品質が悪化するということの繰り返しであって,被告Oが依頼したという業者による対応は,全く不十分なものであった。
以上のとおり,被告Oは,手作りパン生地の供給を中止した上,メロンパン販売事業に適したパン生地を供給せず,パン生地の改良をUに申し入れたり,仕入先の変更を検討したりすることなく,漫然と,賛助会員からのクレーム対応をUに委ねただけであって,パン生地等の供給・品質保持義務を履行しなかった。
ウ収益を確保させる義務の違反
(ア) Gは,原告Aらに対し,賛助会員の募集に際し,@売上については,1日700個から1000個,10万円前後の売上があること,A販売車両の購入ローンについては,6か月で支払が終わることを説明していた。
したがって,被告Oは,サポート義務の一内容として,原告Aらに対し,少なくとも,1日あたり10万円前後の売上が達成されるようにサポートする義務を負っている(以下「収益支援義務」という)。
(イ) 原告Aらは,実際には,1日あたり10万円前後の売上を確保することができず,原告Aらの収益は激減していた。
しかるに,被告Oは,原告Aらの収益を増加させるための支援を何ら行わなかった。
エ付随的合意の違反
(ア) 被告Oは,原告Aらに対し,各賛助会員契約の締結の際,販売車両の台数に関し,「5,6台より増加させない」,「あなたが最後ですよ」と説明していた。
したがって,被告Oは,原告Aらに対し,原告Aらが賛助会員となった後は,他に賛助会員を増加させない義務を負っていた(以下「販売車両台数の調整義務」という。)。
(イ) それにもかかわらず,被告Oは,販売車両を増加させ,最多時においては,14台にまで増加させ,上記の販売車両台数の調整義務に違反した。
(2) 被告Oの主張
ア販売先開拓義務について
(ア) Gは,原告Aらに対し,賛助会員契約を締結する際に,「販売先の開拓については,各賛助会員が行うのが基本である,最初は,賛助会員が独自に探すのは大変だろうから,組合の方で場所を提供するが,ゆくゆくは,各賛助会員において,販売先を確保すべきであること」等を説明していた。
したがって,賛助会員規約3条に定めている,有力な販売先の開拓に関する被告Oの責任は,主として,各賛助会員がメロンパン販売事業を開始したころにおける援助を意味するものであって,その後も継続的に販売先を開拓する責任を負うことを意味するものではない。
(イ) 被告Oは,原告Aらに対し,メロンパン販売事業の開始当時には販売先を提供しており,それからしばらくすると,各自が販売先を確保するようになったため,被告Oから販売先を提供する回数を減らした。
(ウ) さらに,原告A,同B及び同Cは,自ら,福島県内に企業組合を立ち上げる計画を進めており,被告Oに対して,販売先は,自分たちで探すので提供してくれなくても良い旨を伝えた。
イパン生地等の供給・品質保持義務について
(ア) Gは,原告Aらに対し,賛助会員契約を締結する際に,「パン生地は組合で作っているわけではなく,業者が作っており,出来上がって冷凍されたものを仕入れること」,「組合で作っているわけではないので,生地に何かあった場合でも,組合としてはどうすることもできないが,すぐに業者に連絡し対応させる」旨を説明した。
したがって,賛助会員規約3条に定めている,商品品質や商品の内容に関する被告Oの責任は,生地の品質に問題が発生したような場合には,パン生地の製造業者に対応させるという限度のものである。
また,今後も引き続きVの生地を仕入れることを約束したわけではない。
被告Oの責任は,手作りのパン生地を使用する前提でパン生地を供給するとの内容ではなく,通常の品質を備えた生地を供給するという限度の内容である。
(イ) 被告Oが仕入れていたパン生地は,当初は,上生地及びパン生地の製造並びに成型の全てをVが行っていたが,その後,Uが,段階的に,成型を行うようになり,さらに上生地の製造をも行うようになり,最終的にはUが生地の製造の全工程を行うようになった。
このように,被告Oの仕入れる生地の製造が,VからUへと段階的に移行していったのは,全国的にメロンパンの売上数が伸びたことにより,規模が小さくかつ完全に手作業で製造するVでは需要に応じきれなくなってしまい,そのままでは賛助会員らの営業に支障をきたすおそれがあったからであった。
また,Vの生地は,手切りにより分割していたため,均一性が確保されにくいという問題もあった。
仕入れる生地の移行は,このような理由に基づいて行われたものであり,かかる移行は,賛助会員らの利益に適った合理的な理由に基づく変更であった。
(ウ) Uは,Vの生地と同程度の品質を保つため,Vの代表取締役であるHの指導監修の下,工場設備,製造ライン及び製造工程の設定を行ったほか,Vと同じ原材料の使用及び配合を行い,Hによる試食を経て生地を出荷していた。
原告Aらの売上が減少したのが事実であったとしても,その背後には,流行の陰りや競業他者の進出等,複雑な要因が絡み合っていたのであって,Uの生地の品質が悪いために原告Aらの売上が減少したわけではない。
(エ) 被告Oは,原告Aらを含む賛助会員から生地についてのクレームが出るようになってからは,合計約10回,Uの担当者3,4名を仙台に呼び,生地に関する説明を行ってもらったり,焼き方等の指導を行ってもらうように手配した。
ウ収益支援義務について
(ア) Gは,原告Aらに対し,それぞれ,各賛助会員契約の締結に際して,売上及び収益に関する情報として,1日にメロンパンが700個売れたと仮定した場合のシミュレーションを説明した。当時Gは,メロンパンの売上は,天候や販売先によって異なり,また,たとえ同じ販売先であっても各賛助会員の販売力によって大きく異なることを認識していたので,原告Aらに対しては,このような認識も含めて説明した。
Gが,原告Aらに対し「, 1日700個ないし1000個,1日10万円前後の売上がある」「6か月で,販売車両の購入代金に関するローンの支払が終わる」といった説明をしたことはなく,まして,売上及び収益を保証するような説明はしていない。
したがって,被告Oは,原告らが主張するような収益支援義務を負ってはいない。
(イ) 被告Oは,原告Aらが,メロンパン販売事業を開始するに際して,同人らに対し研修を行い,メロンパンの焼き方等に関する資料を配付したほか,被告Oの人間が数日間にわたって原告Aらと同じ販売車両に付き従い,メロンパンの焼き方等に関する指導を行っていた。
エ付随的合意について
Gは,宮城県においてメロンパン販売事業を展開する場合,その人口数などを勘案して,販売車両の台数は10台から15台が限界であろうと考えていた。
そのため,メロンパン販売事業を希望する人に対しては,販売車両の台数については,10台から15台を考えている旨伝えていたのであって,「5,6台としてそれ以上増加させない」や「あなたで最後です」などといった説明をしたことはなかった。
したがって,被告Oは,原告Aらに対し,原告らが主張する販売車両台数の調整義務を負っていなかった。
オ小括
よって,原告らの債務不履行を理由とする解除の主張については,解除の効力を争う。
(争点(2)−仮に(1)の債務不履行があるとした場合,原告Aらは,それに基づき被告Rとの間の売買契約を解除できるか−について)
(1) 原告らの主張
ア被告Rが行った「メロンちゃん」の商標登録の内容や,被告Rのホームページにおける「メロンちゃん」の説明内容に照らせば,「メロンちゃん」とは,移動販売車によるメロンパン販売事業を意味するものと解釈できる。
すなわち,被告Rは,メロンパン販売事業に関して,単なる販売車両の販売業者である以上に,同事業を中核として統括する会社である。
イ被告Rは,「メロンちゃん」との名称で販売車両によるメロンパン販売を全国的に展開している株式会社であり,被告Oは,仙台における「メロンちゃん」の販売拠点となっている企業組合である。
すなわち,被告Rは,販売車両によるメロンパン販売事業のトップ組織であり,被告O等を各地における営業拠点としており,その内実において営業支店と何ら異なるところはない。被告Oが被告Rの協力なくして事業運営できないという意味で,両者の間に支配関係が存したことは明らかである。
これらを,形式的に別人格として捉え,被告Oに債務不履行があったとしても,被告Rと原告Aらとの間の売買契約はその影響を受けないとすることは,原告らの合理的意思に反し,一方で原告らにとっては著しく不利益であり,他方で被告Rを不当に利するものであって,信義に反する。
被告Rと被告Oとの法人格を別個とみることは,明らかに法人格の濫用であって,両者は,いわゆる法人格否認の法理に基づき,同一の法人格を有するものである。
ウ被告Rにおける「メロンちゃん」事業と被告Oにおけるメロンパン販売事業とは,ある統一された事業目標及び規律の下で展開されてきたはずであり,かかる意味において,被告Oは,被告Rの営業代理店であったと考えるべきである。
したがって,販売車両の売買契約の契約主体はもちろん,賛助会員契約の契約主体も被告Rであったというべきであって,被告O側に債務不履行があったということは,契約主体である被告Rの債務不履行を構成するというべきである。
エ販売車両の売買契約と賛助会員契約とは,前者が後者を前提として成立しているという意味において,密接不可分な関係にあり,いずれかの債務が履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されない関係にあるというべきである。
実際,原告Aらにとって,メロンパン販売事業を行うにあたり,被告Rから販売車両を購入するより他に術はなかった。
このような密接不可分な2つの契約については,一方に債務不履行を原因とする解除事由があれば,他方の契約も併せて解除できるというべきである。
(2) 被告R,被告P及び被告Qの主張
ア被告Rの業務内容等
被告Rは,新車・中古車の販売を主軸にしながら,福祉車両等の各種特殊車両の製造・販売等も行う車両販売業者であり,事業内容は,車輌事業部,福祉車輌事業部,特販部,サービス事業部の4つからなる。
販売車両は,被告Rが市販車両にパン焼き設備等を登載する等して製造した移動販売車であり,通称「メロンちゃん」として被告Rが販売しているものである。
被告Rでは,平成15年11月ころから,販売車両を販売しており,これまで累計150台以上の販売実績がある。
なお,被告Rが「メロンちゃん」を商標登録した経緯は,パンであれサンドイッチであれ,何らかの商品を「メロンちゃん」との名称で第三者が路上で販売すると,被告Rの「メロンちゃん」との呼称で販売している移動販売車で作られた商品であるとの誤解を受け,移動販売車自体のイメージが毀損するのを防ぐためであった。
また,被告Rのホームページは,あくまでも販売車両の購入者を募るためのものである。
イ各企業組合と被告Rとの関係
販売車両を購入した各事業者(以下,メロンパン販売事業を営む者を総称して「メロンパン販売事, 業者」という。)は,メロンパンの生地を仕入れ,仕入れたパン生地を乗せて,販売車両を人の集まりそうな場所へ移動させ,移動先でメロンパンを焼いて,不特定多数の顧客にメロンパンを販売する。
ここに,パン生地の仕入等はメロンパン販売事業者が個別に手配するよりも,組合を利用して一括手配する方が便宜でコストも抑えられる。
また,集客の見込める場所に関する情報についても,メロンパン販売事業者が個別に開拓するだけでなく,組合によるサポートを得る方が効果的である。
このような理由から,全国でメロンパン販売事業者のための企業組合が組成されている。
各企業組合は,それぞれ独立しており,組合規約等は各企業組合において個別に作成されている。
被告Rは,あくまでも,販売車両の製造・販売のみを行っているにすぎず,各企業組合における内部規律や活動内容等の詳細を知らない。
ウ被告Rにおける販売車両の販売事務
被告Rと各企業組合との間で,販売車両の販売に関して,何らの協定や合意はない。
各企業組合から,販売車両の購入希望者の紹介を受ける場合でも,各企業組合からは,購入希望者の氏名,連絡先等を確認するのみで,購入希望者の購入動機や企業組合と購入希望者とのやりとり等を聞くことは一切ない。
被告Rが,購入希望者を紹介した各企業組合に対して名目のいかんを問わず,マージンを渡すことも一切ない。
エ法人格否認について
被告Rは,被告Oの組合員でも理事その他の役職員でもなく,被告Rの役職員が被告Oの役職員を兼務していることもない。
加えて,被告Rと被告Oとの間に何らの資本関係もないのであるから,両者の間に,およそ支配的地位は存しない。
また,被告Rにおける販売車両の売上高は,全体の約1割であり,残る9割のほとんどの業務は,被告Oと一切関係のないものである。
したがって,原告らの法人格否認に関する主張は争う。
オ営業代理店について
原告Aらは,被告Oとの間で賛助会員契約を締結しており,同契約書上も,契約主体が被告Oであることが明示されており,被告Rが契約主体でないことは明らかである。
被告Rは,賛助会員契約の策定,締結に一切関与しておらず,被告Rと被告Oとは,販売店と営業代理店との関係ではない。
カ契約の密接関連性について
販売車両の売買契約において,賛助会員契約の締結を予定した条項は存しない。
また,賛助会員契約の締結と販売車両の売買契約とは,それぞれ,別個に締結できるものであって,独自に契約を締結したとしても,その目的は達成できる。
したがって,販売車両の売買契約と賛助会員契約とは密接不可分の関係にはない。
キ以上より,被告Oの債務不履行を理由として,販売車両の売買契約を解除することはできない。
(3) 被告Oの主張
被告Rと被告Oとが不可分一体の関係にあるという原告の主張は争う。
(争点(3)−原告Aらは,被告Rとの間の売買契約を詐欺を理由として取り消すことができるか,同契約について錯誤を理由とした無効を主張できるか−について)
(1) 原告らの主張
ア販売車両の購入契約に関して,原告Aらは,車両本体価格が190万円であり,その余の330万円は,車の付属品とオプション,諸費用及び消費税であって,諸費用の内訳については,発酵棚やオーブン,冷蔵庫との説明を受けた。
ところが,実際には,諸費用の中には,発酵棚やオーブン,冷蔵庫の他に,ボンベ,水タンク,発電機などの備品の代金,更には商標登録された「メロンちゃん」に関する権利料,開発料,工事料,生地開発料,保健所の許可申請手続に関する被告Rの社員の交通費及び人件費までも含まれていた。
イ原告Aらは,販売車両の売買契約締結に際し,売買代金の内訳として,権利料,開発料,更には被告R社員の交通費及び人件費まで含まれているとの説明を受けていれば,このような費用を負担してまで販売車両の売買契約を締結することはなかった。
すなわち,販売車両の売買契約には,売買目的物の価値に関して,被告Rによる欺罔行為があり,原告Aらは,これにより誤信して,各販売車両の売買契約を締結したものである。
よって,原告らの詐欺を理由とする取消の意思表示は有効である。
ウ原告Aらは,販売車両の売買契約の内容に関し,錯誤に陥っており,その錯誤がなければ,各販売車両の売買契約を締結していなかったし,そのような意思表示をしないことは一般取引通念に照らして相当と認められる。
よって,原告Aらによる各販売車両の購入の意思表示は,錯誤に基づいて無効である。
(2) 被告R,被告P及び被告Qの主張
ア販売車両の購入代金額の内訳として,原告らが主張する権利料,開発料,人件費,交通費などは含まれていない。
イ被告Rは,販売車両の購入希望者に対しては,車両の本体価格及びその他の改造費用等に関する詳細な内訳を示すため,必ず見積書を交付している。
本件においても,被告Rは,被告Oを通じて,原告Aらに対し,商品内容の詳細な内訳を示した見積書を交付し,売買対象となる商品内容の説明を行っている。同見積書によれば,ボンベ,水タンク,発電機等が内訳に含まれていたことは一目瞭然である。
したがって,被告Rが,商品内容に関して,原告Aらを欺罔したことはない。
ウそもそも,原告らの主張は,それ自体失当である。
すなわち,原告らの主張によっても,原告Aらは,被告Rから,売買契約の対象物がメロンパンを焼く設備の付属された車であること,その商品代金総額が520万円であることの説明を受けており,少なくとも,車両本体と発酵棚,オーブン,冷蔵庫等の対価として520万円を支払うことに納得していた。
むしろ,原告Aらは,車両本体に加えて,ボンベ,水タンク,発電機等の装置が付属されている旨の説明を受けていれば,より購入意思を強くしていたはずである。
売買契約において,売買代金の内訳を示す義務はなく,内訳を示さなかったことが黙示の詐欺になること自体ありえない。
したがって,被告Rが,ボンベ,水タンク,発電機等が付属しているとの説明を行わなかったことが欺罔行為にあたるとする原告らの主張は,それ自体失当である。
エ仮に原告らの主張を前提としても,原告Aらは,メロンパン焼き設備が付属された車両を520万円で購入するとの認識を有していたものである。
売買代金の内訳は,売買契約の要素ではない。
したがって,原告Aらには,何ら要素の錯誤はない。
仮に,原告Aらにとっては売買代金の内訳が契約の要素であり,原告Aらに要素の錯誤が認められるとしても,その動機は被告Rに表示されていない。
いずれにせよ,錯誤無効となる余地はない。
(争点(4)−賛助会員契約・販売車両の売買契約が,特商法上の業務提供誘引販売取引に該当するか−について)
(1) 原告らの主張
ア原告Aらは,被告Oから,メロンパンの販売という業務に従事することにより一定の報酬が得られると勧誘され,その業務に従事するにあたって必要な商品として販売車両の購入を斡旋され,被告Rから販売車両を購入した。
賛助会員規約の内容からも明らかなように,メロンパン販売事業においては,必要不可欠な商品や資材については,被告Oから供給されるほか,販売先については,被告Oが指定し,有力な販売先を開拓することになっていたのであり,このような実態に鑑みれば,被告Oがあっせんした業務に従事することにより原告Aらが利益を得ることができるというシステムであったと評価すべきである。
すなわち,本件は,業務提供誘引販売業者である被告Oが,販売の目的物である車両を利用する業務に従事することにより得られる利益を収受しうることをもって原告Aらを勧誘し,原告Aらと販売車両の購入という特定負担を伴う,その商品のあっせんにかかる取引を行ったものである。
よって,本件は,特定商取引に関する法律(以下「特商法」という。)51条の業務提供誘引販売取引に該当する。
イ業務提供誘引販売取引においては,契約書面を受領した日から20日間のクーリングオフが可能である。
ところで,本件では,原告Aらは,20日間をクーリングオフ期間とする旨を記載した契約書面の交付を受けていなかったのであるから,依然としてクーリングオフが可能であった。
よって,原告らの特商法58条に基づくクーリングオフの意思表示は有効である。
ウ前記主張のとおり,被告Oは,原告Aらに対し,各賛助会員契約の締結に際して,有力な販売先を開拓すること,パン生地等の品質を保持すること,1日あたり10万円前後の収益があること,販売車両台数を増加させないこと等を説明していたところ,実際には,いずれの説明内容も事実に反する虚偽のものであった。
すなわち,被告Oは,原告Aらに対し,業務提供利益に関する事項について,不実の告知を行った。
よって,原告らの特商法58条の2に基づく取消の意思表示は有効である。
(2) 被告らの主張
ア業務提供誘引販売取引への該当性について
(ア) 業務提供誘引販売取引とは,業務提供利益を収受しうることをもって顧客を誘引し,特定負担を伴う,商品の販売・あっせんまたは役務の提供・あっせんにかかる取引をいう(特商法51条1項)。
ここに,「業務提供利益」とは,「その商品又はその提供される役務を利用する業務(その商品の販売若しくはそのあっせん又はその役務の提供もしくはそのあっせんを行う者が自ら提供を行い,又はあっせんを行うものに限る。)に従事することにより得られる利益と定義されている。
すなわち,業務提供誘引販売業者が自ら提供又はあっせんする業務に従事することによって利益が得られるというシステムであることが要件となっている。
これは,業務を提供またはあっせんすることにより,利益の収受が販売業者の影響下にあることとなり,「利益を収受しうる」という勧誘がそれだけ消費者に対する誘引力を高くするからである。
(イ) メロンパン販売事業においては,被告Oが,例えば「製造されたメロンパンは当組合で買い上げます」と自ら業務を提供することや,「製造されたメロンパンを購入するパン販売会社を紹介します」と業務のあっせんを行うことを説明していない。
したがって,販売車両の売買契約は,「業務提供利益を収受しうること」をもって顧客を誘引したものではない。
(ウ) よって,本件が,特商法51条に定める業務提供誘因取引に該当するとの主張は,争う。
イ消費者保護規定の適用要件の欠如
(ア) 特商法が規定する消費者保護規定の適用要件として,「提供され又はあっせんされる業務を事業所その他これに類する施設によらないで行う個人」であることが必要である。
これは,事業所等に類する施設を設けて業務を行う場合は,たとえ業務提供誘引販売業者から提供される業務のみに従事する者であっても,消費者として保護する必要性が欠けるからである。
(イ) メロンパン販売事業においては,仮に原告らの主張を前提としても,移動式販売車両という施設を店舗さながらに路上に固定し,その施設の中でパンを製造して販売している。対顧客との関係でも,通常の店舗と同様に対面で販売している。
すなわち,メロンパン販売業務の主要部分は,販売車両の中で行われているのであり,販売車両は,実質的には,事業所ないし事業所に類する施設に該当する。
(ウ) したがって,本件においては,特商法による保護要件を欠いており,特商法の適用を前提とする原告らの主張は争う。
ウ被告Rと「業務提供誘引販売業を行う者」
特商法58条及び同条の2が適用されるには,業務提供誘引販売業を行う者がその業務提供誘引販売業にかかる業務提供誘引販売契約を締結した場合であることが必要であるところ,被告Rは,業務提供誘引販売業を行う者には該当しない。
(3) 原告らの反論(消費者保護規定の適用要件の欠如について)
商取引に習熟した個人事業主と評価されるためには,外観(店舗,設備,一見の客が入れるか,実質(従) 事時間,仕入や受注の自由度,経営判断の独自性)等を総合判断すべきで,それまで素人であった者が,特に店舗や工場設備等を設けず(主に自宅で),特定の事業者からの業務の供給に依存して行うような場合は,業務提供誘引販売取引の保護を与えるべきである。
本件においても,原告Aらは,特に店舗や工場設備を設けず,被告Oからの業務の供給に依存して行っていたのであるから,業務提供誘引販売取引の適用を受けることは当然である。
(争点(5)−法定追認の成否−について)
(1) 被告R,被告P及び被告Qの主張
ア本件車両の付属品等の内訳が「発酵棚やオーブン,冷蔵庫」だけでなく,「ボンベ,水タンク,発電機などの備品代」が含まれていることは,本件車両を一度でも利用すれば分かることである。
また,原告Aらは,平成16年5月ころには,被告Oによる販売先の開拓や提供がなされなくなったのを知っていたものである。
そうすると,遅くとも,平成16年5月以降には,「取消しの原因となっていた状況が消滅」しているのであるから,同月以降に立替払契約に基づく支払を行ったことは,債務の一部を履行したこととなり,原告Aらには,法定追認が成立する。
イ原告Aは,被告Pに対し平成17年4月27日まで,被告Qに対し平成17年5月16日まで,原告Bは被告Pに対し同年5月27日まで,原告Cは被告Pに対し同年5月27日まで,原告Dは被告Qに対し同年8月29日まで,原告Eは被告Pに対し同年12月27日まで,それぞれ,立替払契約に基づく債務を支払っている。
ウ以上により,原告Aらについては,法定追認が成立している。
(2) 原告らの主張
そもそも,特商法58条の2に基づく取消に関しては,法定追認の規定が適用されることが予定されていない。
また,原告らが欺罔されていることについて確信を抱いたのは,原告A,同C及び同Bにおいては,平成17年9月20日の直前ころ,原告Dにおいては,平成18年1月23日の直前ころ,原告Eにおいては,平成18年3月14日の直前ころである。
したがって,原告Aらにおいて,法定追認が成立するとの被告R,被告P及び被告Qの主張は争う。
(争点(6)−原告らの被告P及び被告Qに対する債務の存否−について)
(1) 原告らの主張
ア抗弁事由の対抗
(ア) 原告らは,上記主張のとおり,それぞれ,販売車両の売買契約について,被告Rに対し,債務不履行に基づく解除,詐欺を理由とする取消,錯誤を理由とする無効,特商法に基づくクーリングオフないし取消という抗弁権を有している。
したがって,原告らは,割賦販売法30条の4に基づき,被告P及び被告Qに対し,これらの抗弁事由を対抗することができる。
(イ) なお,販売車両の売買契約は,販売車両・設備一式を対象とした1つの契約である。
したがって,販売車両の購入代金の内訳に関する詐欺取消ないし錯誤無効の法律効果も契約全体に及ぶと考えるべきである。
したがって,被告Qと原告A及び原告Dとの関係でも,立替払契約書において,立替払契約の対象物が,「リンナイRCK30MA,サンデンSH−F40ジャスコ,改造取付工事他」と明示されていたとしても,販売車両の売買契約全体について,詐欺取消ないし錯誤無効の効果が生じている以上,上記抗弁権を対抗することができる。
イ契約書の不備について
原告Aらと被告Pないし被告Qとの間の立替払契約書には,それぞれ,つぎのような著しい記載不備があり,被告Pないし被告Qにおいて割賦販売法に基づく義務を履行したとは到底認められない。このような結果,原告Aらは,契約内容について十分な認識のないまま契約締結に至り,販売車両の購入に関し,商品の内容や手数料について錯誤に陥った。
したがって,被告Pないし被告Qが,立替金残金全額の請求を求めることは著しく信義に反する。
(ア) 被告P
a 原告Aについて
立替払契約書には,支払総額の記載がなく,明らかに,割賦販売法30条の2第5項1号に違反している。
b 原告Cについて
立替払契約書には,支払総額の記載がなく,明らかに,割賦販売法30条の2第5項1号に違反している。
c 原告Bについて
立替払契約書には,支払総額の記載がなく,明らかに,割賦販売法30条の2第5項1号に違反している。
また,同契約書には,各回ごとの支払額及び支払の時期の記載がなく,明らかに,割賦販売法30条の2第5項2号に違反している。
さらに,同契約書には,契約商品名,契約商品の商標・型式の記載がなく,明らかに,割賦販売法30条の2第5項5号,割賦販売法施行規則13条の10第3号及び同第4号に違反している。
d 原告Eについて
立替払契約書には,支払総額の記載がなく,明らかに,割賦販売法30条の2第5項1号に違反している。
(イ) 被告Q
a 原告A
立替払契約書には,支払総額の記載がなく,明らかに,割賦販売法30条の2第5項1号に違反している。
b 原告D
立替払契約書には,支払総額の記載がなく,明らかに,割賦販売法30条の2第5項1号に違反している。
(2) 被告Pの主張
ア抗弁事由の対抗について
原告らの,被告Rに対し抗弁権を有するとの主張は争う。
イ契約書の不備について
立替払契約書に,原告らが主張するような記載がなかったことは認める。
しかし,原告らは,立替払契約を締結する前に,被告Rから,支払総額,分割払手数料,支払方法等について具体的な説明を受けたはずであり,原告らは,そのような説明内容に納得したからこそ,立替払契約を締結したはずである。
したがって,被告Pが,原告らに対し,立替払残金全額を請求することは,何ら信義則に違反しない。
(3) 被告Qの主張
ア抗弁事由の対抗について
原告A及び原告Dは,販売車両の購入代金の内訳として,オーブン,冷蔵庫を明確に認識していたのであるから,少なくとも,被告Qの立替請求分について,詐欺を理由とする取消,錯誤を理由とする無効の主張は,その前提事実を欠いている。
イ契約書の不備について
立替払契約書に,支払総額の記載がなかったことは認める。
しかし,契約締結の前には,原告A及び原告Dは,被告Qから,必ず支払総額の確認を受けており,また,契約締結後,支払開始する前には,両原告は,支払総額を明確に明示した書面を受領している。
したがって,被告Qが,両原告に対し,立替払残金全額を請求することは,何ら信義則に違反しない。
(4) 被告Rの主張(クレジット手数料について)
被告Rは,毎回の支払額と支払回数,支払総額を説明している。
また,原告らが所持していた立替払契約書には,各回の分割支払額及び支払回数が明記されており,分割支払額と支払回数を乗じれば支払総額が約650万円であることは容易に分かるはずである。
(争点(7)−本件賛助会員規約6条(配当又は繰越),7条(配当の方法),9条(脱会)について,規約と異なる扱いをする旨の合意があったか−について)
(1) 原告らの主張
ア被告Oに対する請求
(ア) 賛助会員規約9条によれば,被告Oは,原告Aらに対し,脱会した場合,加盟金を全額返還すべき義務を負っている。
原告A,同B,同C及び同Dは,平成17年2月ころ,原告Eは,同年11月ころ,それぞれ,賛助会員規約に基づいて,被告Oから脱会した。
また,被告Oと原告Aらとの間の各賛助会員契約は,上記主張の通り,有効に,解除ないし取り消されている。
よって,被告Oは,原告Aらに対し,それぞれ,加盟金を全額返還すべきである。
a 原告A,原告B,原告C,原告D
上記4名の原告らは,被告Oから,加盟金の返還として,15万円を受領した。
したがって,被告Oは,上記4名の原告らに対し,それぞれ,35万円を返還すべきである。
b 原告E
被告Oは,原告Eに対し,50万円を返還すべきである。
(イ) 原告Aらは,被告Oに対し,賛助会員契約締結後,組合費として,月々10万円を支払っていた。
しかし,賛助会員契約が被告Oによる債務不履行に基づいて解除された以上,被告Oは,原告Aらに対し,原状回復義務として,それぞれ,原告Aらが支払った組合費を返還すべきである。
a 原告A,原告B
上記2名の原告らは,被告Oに対し,組合費として,それぞれ,合計85万円を支払った。
したがって,被告Oは,上記2名の原告らに対し,それぞれ,85万円を返還すべきである。
b 原告C
原告Cは,被告Oに対し,組合費として,合計65万円を支払った。
したがって,被告Oは,原告Cに対し,65万円を返還すべきである。
c 原告D
原告Dは,被告Oに対し,組合費として,合計81万1380円を支払った。
したがって,被告Oは,原告Dに対し,81万1380円を返還すべきである。
d 原告E
原告Eは,被告Oに対し,組合費として,合計50万円を支払った。
したがって,被告Oは,原告Eに対し,50万円を返還すべきである。
(ウ) 賛助会員規約6条,7条によれば,被告Oは,原告Eに対し,毎事業年度末に決算利息余剰金を配当すべき義務を負っている。
しかるに,被告Oは,原告Eやその他の賛助会員からの再三にわたる決算書開示の要求に応ぜず,決算利息余剰金の配当も行っていない。
したがって,被告Oは,原告Eに対し,平成16年度の決算利息余剰金の配当として,賛助会員規約7条所定の加盟金に対する変動上限年率10%の割合による配当金5万円を支払う義務がある。
イ被告Rに対する請求
上記主張のとおり,被告Rと被告Oとは,実質的に不可分一体の関係にあるのであるから,被告Oによる債務不履行は,被告Rの債務不履行というべきである。
したがって,被告Rは,原告Aらに対し,被告Oによる債務不履行に基づき,原告Aらが加盟金及び組合費として支払った額について,原告Eに対しては,それらの額に加えて平成16年度の決算利息余剰金に相当する額について,返還義務ないし損害賠償義務を負う。
(2) 被告Oの主張
ア加盟金の返還について
Gは,原告Aらに対し,それぞれ,各賛助会員契約の締結に際して,加盟金の50万円に関し,内訳として,35万円については契約金として被告Oが収受し,15万円について,脱会する際に返還すると説明し,原告Aらも,了承していた。
イ組合費について
Gは,原告Aらに対し,それぞれ,各賛助会員契約の締結に際して,毎月初めに,組合費として10万円を納めていただく旨を説明し,原告Aらも,了承していた。
徴収された組合費は,被告Oが販売場所を探す際における交通費等の経費や,メロンパン生地を保管するための倉庫代,組合事務所の賃料,組合職員の給与など,原告Aらを含む賛助会員の営業利益のために費やされたのであるから,原告Aらに返還されるべき金員ではないというべきである。
契約自体が解除等により消滅した以上,被告Oが組合費の返還義務を負うとの主張は,争う。
ウ決算利息余剰金の配当について
Gは,原告Aらに対し,それぞれ,各賛助会員契約の締結に際して,被告Oにおいては,決算利息余剰金の配当を一切行わないと説明し,原告Aらも,了承していた。
(3) 被告Rの主張
被告Rは,賛助会員契約の当事者でもなく,被告Oと不可分一体でもない。
被告Rが,賛助会員契約の債務不履行に基づく損害賠償義務を負うことはありえない。
(4) 原告らの反論−被告Oの主張に対し
加盟金の返還額や決算利息余剰金の配当に関し,被告Oが主張するような説明がGからなされたことはなかった。
(争点(8)−損害の発生とその数額−について)
(1) 原告Eの主張
ア被告Oに対する請求
(ア) 上記主張のとおり,被告Oは,原告Eに対し,賛助会員契約に基づくサポート義務,販売先開拓義務,パン生地等の供給・品質保持義務,収益支援義務のいずれについても,その履行を怠った。
特に,パン生地等の供給・品質保持義務との関係では,被告Oは,平成17年5月ころ,原告Eに対し,賞味期限の過ぎたメロンパン生地を供給したこともあった。
(イ) 被告Oによる債務不履行の結果,原告Eのメロンパン販売事業における売上は,大幅に減少し,平成16年12月以降は,1日あたり,160個から200個の売上しかあげられなくなった。そのため,毎月多額の赤字が発生する状態となり,立替払契約の支払や被告Oに対するパン生地代の支払などのため,クレジット会社などから多額の借金返済をせざるを得ない状態に追い込まれた。
被告Oが,上記義務を履行していたならば,原告Eは,平成16年12月以降も,月間純利益として68万7000円を得ていたはずである。
原告Eは,平成17年11月7日ころをもって,被告Oから脱会し,メロンパン販売事業を辞めた。
したがって,上記月間純利益の11か月分である755万7000円は,被告Oによる債務不履行の結果,原告Eが被った損害額である。
(ウ) よって,被告Oは,原告Eに対し,債務不履行に基づく損害賠償義務として,755万7000円を支払う義務を負う。
(エ) なお,原告Eは,被告Oから,平成17年11月,パン生地代金等の未払金合計25万1480円の支払を求められたので,同月26日,被告Oに対し,上記加盟金支払請求権及び決算利息余剰金の配当請求権並びに損害賠償債権と未払金債務とを対当額で相殺するとの意思表示をした。
よって,原告Eが本訴において被告Oに対して支払を求める額は,合計835万5520円となる。
イ被告Rに対する請求
上記主張のとおり,被告Rと被告Oとは,実質的に不可分一体の関係にあるのであるから,被告Oによる債務不履行は,被告Rの債務不履行というべきである。
したがって,被告Rは,原告Eに対し,被告Oの債務不履行に基づき,同被告と同額の損害賠償義務を負う。
(2) 被告Oの主張
争う。
(3) 被告Rの主張
被告Rは,賛助会員契約の当事者でもなく,被告Oと不可分一体でもない。
被告Rが,賛助会員契約の債務不履行に基づく損害賠償義務を負うことはありえない。

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EB債1取引
以上のEB債1取引の実体に照らせば,EB債1のうちP4家族 の資金により取得されたことが明らかな,P10LPS,P11U/Tが名 義上の購入者となったものについては,原告P5社から原告P4が実質支配 する名義上の投資家に利息が支払われたときに,P4家族の所得として帰属 したというべきであり,その収益は,所得税法12条により,これを享受す るP4家族に帰属するとして所得税法が適用されると解すべきである。
これに対し原告らは,EB債1の名義上の投資家であるP10LPS等の 法人格は否認されない旨を主張するが,上記のとおり,EB債1取引は,P 4家族がこれらの名義を借用したものであって,所得税法は,法律上収益が 帰属するとみられる者が単なる名義人であってその収益を享受せず,他の者 が収益を享受する場合には,その収益は,これを享受する者に帰属するとし て所得税法を適用するとしているのであるから(所得税法12条),EB債 1の名義上の投資家の法人格を否認すべきか否かはそもそも問題とならない。
また,原告らは,名義上の投資家の預金口座に入金された金員がP4家族 の所得として帰属することはないと主張するが,前記認定事実によるならば, P4家族は,名義上の購入者の預金口座をも含めて,これらの名義を借用し たものと認められるから,EB債1の利息が同口座に入金されることにより P4家族の所得として帰属するというべきであり,原告らの同主張も理由が ない。